子どもの見守りや家族向け位置情報共有アプリ「Life360」が、数千万人のユーザーの正確な位置情報を販売していると報じられています。同社は探し物トラッカー「Tile」を買収した企業ですが、「Tile」のデータを販売する予定はないということです。
Tileを買収した、家族との位置情報共有アプリ「Life360」が数千万人のデータを販売していた
家族との位置情報共有アプリ「Life360」が、数千万人ものユーザーの正確な位置情報を販売していると、The Markupが報じています。Life360は世界で3,300万人が利用している人気アプリです。
記事によると、「Life360」が子どもや家族のいち情報に関するデータを約10社のデータブローカーに販売しているといい、データブローカーは購入したいと希望するすべての人にデータを販売しているということです。
The MarkupがLife360の元従業員2名にインタビューしたところ、データの悪用を防ぐための安全策が殆どないまま販売されているといい、位置情報の履歴が個人に辿り着かないようにするための必要な予防措置は講じられていないと証言しています。
Life360は最も明白に識別できるユーザー情報を削除しているものの、プライバシーを保護するために、位置情報の「ファジング」「ハッシュ化」「集約」「精度の低下」などの努力をしていないのだそう。
なおLife360が第三者にユーザーデータを販売することはプライバシーボリシーには記載されているとのこと。
問題点としては大きく2つあり、1つはLife360にデータ共有しないためには、位置情報の共有をオプトアウトする必要がありますが、アプリの性質上、位置情報をオフにすると機能しません。そのためユーザーはアプリを利用するためには、位置情報の共有が必ず必要になり、第三者にデータが販売されることを許諾しなければなりません。
2つめは販売されたデータがどのように扱われているのか、これについても不透明な点が多いということ。証言によれば、個人を特定することも可能であるようなので、そういったデータを無自覚にユーザーが提供し、Life360が販売、ブローカーなどが購入しているというのは、気持ちが悪いと感じるユーザーも少なくないでしょう。
クリス・ハルス氏は、「当社のデータがデータパートナーを介して個人にまで遡られた例はありません。さらに、当社の契約には再識別を禁止する文言が含まれており、この文言に違反した場合は積極的に対処します」とコメントしています。また「Tile」のデータを販売する予定はないと説明しています。