AppleはHiFi(High Fidelity)に対応した、高音質版のApple Musicを準備中のようです。iOS 14.6 beta 1内部から確認されています。
Apple Music、「Dolby Atmos」や「Lossless」対応か
MacRumoursなどによると、Apple Musicが高音質版サービスを新たに展開している可能性があります。iOS 14.6 beta内部から示唆するコードが確認されています。
iOS 14.6 beta 1内部のコードでは、「Dolby Atmos」「Dolby Audio」「Lossless」に関する記述が確認されたとのこと。しかし、iOS 14.6 beta 2からは記述は削除されていることも確認されています。
いわゆるHiFi対応はApple Musicユーザーであれば誰もが利用可能と予測されますが、「Dolby Atmos」は空間オーディオに対応している「AirPods Pro」「AirPods Max」のみに制限される可能性が考えられます。
Appleは以前からALAC(Apple Lossless Audio Codec)を提供していて、Musicでもサポートしています。ALACは可逆圧縮フォーマットで、当初はApple独自規格でしたが2011年にオープンソース化され、いわゆるハイレゾ音源の配信サービスなどでも広く利用されていますが、Apple Musicのストリーミング再生では適用されていません。
リーク情報によると、価格は個人利用で月額980円と従来価格と変わらずに提供されるようです。
高音質版Apple Musicを開始する下地はできている
高音質版のApple Musicが登場するのであれば、期待されるのは真の意味でのハイレゾストリーミング配信。5Gに対応したことでハイレゾのストリーミング配信は現実味を帯びてきていました。
そもそも、Apple Musicが突然にハイレゾ配信が可能なのか?という点で考えてみると、2つのポイントが考えられます。
1つはApple側が対応しなければならない課題で、iPhoneやMacでハイレゾ音源の再生ができる環境を整えなくてはならないということ。特にiPhoneはBluetooth接続ではAACとSBCにしか対応していませんし、再生環境を整える必要があります。
第2にアーティスト側が用意する音源の課題ですが、これは解決されています。Appleはすでに高音質の配信を進めていて「Apple Digital Masters」を通じて配信された楽曲がそれにあたり、デバイスへのダウンロードした楽曲データや「高品質ストリーミング」を選択することで視聴できます。
「Apple Digital Masters」はCD音源をストリーミング用にエンコードするのではなく、スタジオ品質のマスター音源をApple独自のツールでエンコードして配信する仕組み。つまりアーティスト側はApple Musicに配信時、スタジオ品質のマスター音源を利用しているため、ハイレゾ配信の下地はすでに整っている状況ではあります。
競合するSpotifyも今年2月にHiFi対応を発表していますが、こちらはCD品質のロスレスオーディオ形式。Appleが再生環境を整えることで、さらに高品質な配信が可能になる可能性はあります。
Appleは2020年6月に開催した「WWDC」でAirPods Proの「空間オーディオ」対応を発表していますし、高品質のApple Musicが発表されるとすれば、6月7日に開催されるWWDC 21の可能性が高そうです。