富士フィルムが2月5日に公開した、「FUJIFILM X100V」のPR動画に「何堂々と盗撮推奨してんだよ」などと批判が多数寄せられていた問題で、富士フィルムは動画を削除。公式サイトで「視聴者の皆さまに不快感を与える動画が掲載されましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪しました。
写真家・鈴木達朗氏の撮影風景に批判、富士フィルムが謝罪
富士フィルムが2月5日に公開したPR動画が、「盗撮を推奨している」などの声があがり炎上していた問題について、「視聴者の皆さまに不快感を与える動画が掲載されましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪しています。
問題の動画は同日発売となった「FUJIFILM X100V」のPR動画。写真家・鈴木達朗氏の撮影風景などを収めた動画で、鈴木氏がストリート写真として通行人の前に立ちはだかり撮影する様子や、明らかに迷惑そうな表情をする通行人の姿が切り取られていました。
動画には「何堂々と盗撮推奨してんだよ。スナップだから盗撮じゃないとでも言いたいの?」「芸術とかは分からないけど、これはただの不審者・盗撮」など、批判の声が殺到。
また「盗撮かどうかは別の話として、そんな動画を富士フィルムが堂々と公開したっていうのが残念」など、富士フィルムはなぜ問題になりそうだと気がつけなかったのか、と疑問視する声もあがっていました。
富士フィルムは公式サイトおよびYouTube動画は、公開から数時間で削除。同日夜には公式サイト上で、「視聴者の皆さまに不快感を与える動画が掲載されましたことを深くお詫び申し上げます。本日、当該プロモーション動画の配信を停止いたしました」と謝罪。
「頂戴いたしました、多くのご意見・ご指摘を真摯に受け止め、今後このようなことがなきよう努めてまいります。引き続き、写真の素晴らしさを多くの皆さまに共感をもって受け止めていただけるよう取り組んでまいります」としています。
鈴木氏はストリートスナップの世界で高い評価を受けているカメラマン。昨年12月には自身のTwitterで、「ストリート写真はドキュメント写真の一つとしても位置付けられる」と投稿。
「その時代の人々や街並み、光景を写すのは撮り手として当たり前のことと思います。時代の風潮になびいて腰砕けのように人を撮らなくなるようなことは自分はしないと思います。逃げるなよ。その程度の覚悟で撮影していたのか」と持論を述べていました。
ストリート写真はドキュメント写真の一つとしても位置付けられるわけで、その時代の人々や街並み、光景を写すのは撮り手として当たり前のことと思います。
— Tatsuo Suzuki / 鈴木 達朗 (@tatsuo2006) 2019年12月15日
時代の風潮になびいて腰砕けのように人を撮らなくなるようなことは自分はしないと思います。
逃げるなよ。
その程度の覚悟で撮影していたのか。 pic.twitter.com/O98Bz7Bshe
「FUJIFILM X100V」PR動画で鈴木達郎氏が語っていたこと
そのなんなんだろうな。いい写真が撮りたいんですよ。そのいい写真っていうの、どういう撮り方がいい写真か僕もわかんなくて。それはずっと試行錯誤してて。
渋谷の雑多加減って異常だなと思っていて。これはやっぱりネイティブの人間として、内側から撮っておいた方がいいんじゃないかなというのもあってひたすら撮ってる感じです。
生身の人間を撮りたいっていうのがある。そうすると脚色がないのってストリート写真かなって思ったんですよね。素の状態じゃないですか。
自分でもわかんないんすよ。なんでそんな相手のプライバシーゾーン、こんな近いとこで撮んなきゃいけないのか。わかんないんですけど。なんかそのテンションっていうか、瞬間的に刹那的に撮ってよりそのダイナミックな感じで写真に残したいってなるとそうするとああいう撮り方に自然となっていった。
ゆるい写真じゃなくてピンと張ったものを残していきたい。その都市の息遣いみたいなものをその写真から感じてくれれば、見た人もいいかなと思って。それで撮っているんですけども。
サラリーマンとして働いたんですけどある日ふっと、デジカメが流行った時期がありまして。10年ちょっと前に。最初、趣味のつもりだったんですよ。土日のいわゆるサンデーカメラマン。土日だけ趣味で撮ってみるか。じゃあ写真で勝負してみようかなって感じになって。パッと辞めちゃったんですよね。49歳の時。何も考えずに。収入はものすごい減りましたよ。1/10とかに。言ってもね、自分で決めたことなんで後悔がないんですよね。どん底の生活ですけど。後ろはないんで、やるしかないんで。
パンクロックとかすごい好きで、あとビートロックとか。ギターをやってたんですよ。そういうビート感、リズム感というのは多分シャッターを切るとき、多分そのスピードでやってるんじゃないかなとは思います。
僕の中に持ってるエネルギーみたいのがあって町の感触みたいのとぶつかるみたいな感じ。ハードですね。今日も神経相当すり減らしてますし。いつ相手がこうナイフを突き刺されるかもわかんないし。なんかそういうせめぎ合いの中で撮ってるんで安全な場所から撮ってるだけじゃないんで。そういうのは常に覚悟しながら撮ってます。
ただ、僕は別に被写体を貶めようとか晒してやるという気持ちは全くない。もう街の魅力、こんな面白い光景があって、こんな人たちがいて僕が切り取ったらこうなるっていう。それを可能な限り最高な状態で収めたい。
(中略)※商品のPR
とにかく写真うまくなりたいっていうのはあるんですよ。もっともっと。自分はまだ下手なんで。やっぱもっと写真表現とか。トップランクに行きたいってのもあって。今はもう、がむしゃらにやっていくしかない。今は登ってる最中です。山を一生懸命駆け上がって。なんだか知らないけど。そこで休むわけにいかないんだよ。ゆるめたら落っこっちゃう。