警察庁「仮想通貨発掘ツールを明示せずに設置すると犯罪になる可能性」、ネットで物議

警察庁「仮想通貨発掘ツールを明示せずに設置すると犯罪になる可能性」、ネットで物議

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ウェブサイトにJavaScriptを埋め込むことで、閲覧者のブラウザからCPUを動かし仮想通貨のマイニングを行うツールを、閲覧者に明示しない状態で設置していた場合「犯罪になる可能性がある」と警察庁が注意喚起し、ネット上では疑問視する声や、警察庁を批判する声が相次いでいます。

警察庁はマイニングツールはウィルスと判断、違法だとして逮捕者も

Mining

警察庁は6月14日、ウェブサイトに仮想通貨発掘ツールを閲覧者に明示せずに設置した場合「犯罪になる可能性があります」と注意喚起しています。

仮想通貨発掘ツール(マイニングツール)を巡ってはデザイナーのモロさんが自身のブログで神奈川県警から家宅捜索を受けた話として、「不正指令電磁的記録 取得・保管罪」で罰金10万円の略式命令を受けた経緯を公開し注目を集めていました。

産経新聞などによると、マイニングツールをサイト閲覧者に明示せずに設置したことで全国で16人が摘発され、3人が逮捕、13人が書類送検されており、いずれも「Coinhive(コインハイブ)」というツールが設置されていたとのこと。

高木浩光氏「懸念されていた濫用がついに始まった」

セキュリティ研究者の高木浩光氏は「懸念されていた濫用がついに始まった」「マルウェア扱いするのは間違っている」と詳細な解説をしたブログを投稿しています。

髙木氏は今回の警視庁の注意喚起についても、誤った認識があることを指摘。「悪質なデマ」などと、語気を強めて語っています。

ネット上ではウェブ広告など他のJavaScriptで動くツールは問題にならず、マイニングだけが違法とされることについて疑問を持つ声が続出。また警察庁のサイトなど、「行政サイトの多くがSSL化していないことのほうが危ない」という指摘もされています。

警察庁「マイニングさせられることに社会的コンセンサスがあるとは言えない」

またNHKによると、警察庁は「閲覧者が知らない間に無断で『マイニング』させられることに社会的コンセンサスがあるとは言えない」「ネット広告とは状況が違う」と説明しているとのこと。

この説明には社会的コンセンサスを「警察が勝手に決めるものではない」といった指摘が多くあがっています。

また他にも誤った認識があるといった指摘や、NHKに取材をされたセキュアワークス・ジャパンの中津留勇氏が自分の発言がカットされていることなどを指摘しています。

MacFanなどで活躍するIT系ライターの海老原昭(Akira Ebihara)さんが警察庁の広報に電話で「どっからどこまでが罪になるのか」と問い合わせたところ、「各警察署に問い合わせてくれ」という応えだったそう。

罰金10万円の略式命令を受けたデザイナーのモロさんは、異議を申し立てる刑事裁判を申し立てるといい、判決には注目が集まりそうです。

追記:無罪判決が出ました(2019年3月27日)