コインチェック株式会社は28日、同社が運営する仮想通貨取引所「Coincheck」での仮想通貨NEMが不正流出した問題についての補償方針を発表しました。今回不正に流出したNEMの補償について、NEM保有者全員に日本円でコインチェックウォレットに返金するとのことです。
NEM保有者は26万人、補償金額は総額463億円
コインチェック株式会社は28日、1月26日に発生した同社が運営する仮想通貨取引所「Coincheck」において仮想通貨NEMが不正に流出した問題について、NEM保有者への補償方針について発表しました。
今回流出したNEMは5億2300万XEMにのぼり、保有者は約26万人。同社は保有者全員に日本円でコインチェックウォレットに返金するとのこと。算出方法はNEM取扱高が最も多いZaifのレートを参考に、出来高の加重平均を使い算出。
本件のXEMの参照レート情報の提供については、コインチェック社から事前に打診を頂いた上で、弊社が同意したものとなります。コインチェックさんから具体的な方針が発表されて何よりです。 https://t.co/xMGCMw52r1
— Zaif - 暗号通貨取引所 (@zaifdotjp) 2018年1月27日
算出期間はCoincheckでのNEM売買停止時から今回の発表が行われた時間(27日23時/日本時間)。補償金額については88.549円×保有数で、総額は約463億円になります。
なお、補償時期や手続の方法については現在検討中としており、返金原資は自己資金より実施するとのことです。
日本円での補償について、ユーザーからは批判の声も これは「強制利確?」
補償方針の発表をうけユーザーからは「返ってくるだけよかった」と安堵する声があがる一方、「88円では困る」「ハッキング前の単価にしないと妥当性がない」「ネムで返せ」など、批判の声もあがっています。
気になるのはこの返金が法的には「強制的な利確になるのでは?」という点。利確とみなされる場合は雑所得として申告が必要になるユーザーも多そうですよね……。
所得税法施行令30条3号によると以下のように規定されています。
三 心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金(第九十四条の規定に該当するものその他役務の対価たる性質を有するものを除く。)
今回のNEM不正流出の補償(返金)が「利確」ではなく、「補償金」としてみなされるのであれば、非課税となる可能性もあるようです。この辺り、詳しいところからの解説を待ちたいところですね。というかコインチェックがそこまで説明してくれてもいいのに……。
(追記)「返金は損害賠償金で非課税、含み益は雑所得として課税対象」
税理士の吉澤大氏(著書に「会社の財務」(日経BP社)など)のブログ記事「コインチェックが円で返金したお金の課税関係|損害賠償金として非課税なのか?」が今回の論点についてわかりやすくまとめてくださっていました。
コインチェック社から支払われる金額(88.549円×NEM保有数)については所得税は非課税になりますが、含み益(時価と取得額の差)は、雑所得として課税される可能性が高いとのことです。国税庁の正式な見解は明らかになっておらず、あくまで吉澤大氏の見解です。
また、ビットコイン谷が国税庁に問い合わせたことを記事にしています(参照:国税庁に直接聞いてみた!コインチェックのNEM460億円補償に対する税金はどうなるの?)
やはり含み益は雑所得として課税対象となるという回答が得られたようです。